町工場が試作品の相談を受けるための初回ヒアリング項目
試作品の初回相談では、用途、確認したい機能、図面の版、材質、数量を聞き、未確定事項を明示して加工・技術担当へ渡します。営業窓口だけで加工可能、希望納期に対応可能と約束しないでください。見積に必要な情報が揃ったかと、技術的に対応できるかは別の確認です。
- 形や寸法だけでなく、試作品で何を確かめたいかを聞く。
- 図面の有無、版、確定していない条件、共有範囲を分けて記録する。
- 自社設備と外注の判断は、担当者が現物や条件を確認して行う。
- 仕様や共有許可が不足する場合、見積や外注照会を保留する。
最初の質問は、何を試したいのかにする
試作品という言葉だけでは、外観を見たいのか、組み付けを確かめたいのか、特定の働きを確認したいのか分かりません。初回の受付では、この一個で何を確かめたいかを相手の言葉で聞きます。完成品の説明を営業側が補ってしまうより、確認目的を短い一文にして相手と照合する方が、技術担当へ渡す材料になります。
用途を聞くのは、営業が安全性や性能を判断するためではありません。確認すべき条件を技術担当が把握するためです。使用環境、他の部品との関係、評価する人などが不明なら、未確認として残します。以前に似たものを加工したことがあっても、今回も同じ条件で対応できるという結論にはしません。
受付時には、相手が相談したい段階も確認します。アイデアについて話したいのか、図面の内容を相談したいのか、確定した仕様で見積を取りたいのかによって、次に必要な担当が異なります。相談の段階を見積依頼に勝手に変えたり、検討用の説明を正式な仕様として扱ったりしないようにします。
図面は有無だけでなく、版と確定範囲を確かめる
図面がある場合は、図面番号や版の表示、作成日など、相手が管理している識別情報を確認します。営業が独自の版番号を作って元の図面に付け足すのではなく、受け取った資料を取り違えないための記録にします。メール本文で条件が補足されている場合、その補足も担当者が確認できるようにします。
寸法や公差、表面の扱いなどが未確定なら、その箇所を未確定として技術担当へ回します。図に書かれていない部分を、通常ならこうだろうと受付担当が埋めないでください。加工方法や測り方の選択に関わる点は、実際の条件と評価目的を見た担当者の確認が必要です。ここでは標準値や実現可能な精度を提示しません。
図面がない場合にも、写真や説明だけで即座に見積できるとは限りません。説明用の画像なのか、仕様を示す資料なのかを確認し、次の相談で必要な資料を技術担当に尋ねます。図面がないことを受付不可と一律に決めず、今回の窓口がどの段階の相談を受け付けるかに沿って案内します。
材質、数量、希望時期は、決定と希望を分けて聞く
材質は相手が指定したもの、候補として挙げたもの、まだ決めていないものを分けます。似た名称の材料を営業側で同じものに置き換えたり、在庫があるという理由だけで代替を約束したりしません。代替を検討するなら、必要な性質や目的を踏まえ、技術担当と相手の確認に戻します。
数量は今回の試作に必要な数と、将来の製作を検討している数を分けます。量産の可能性があるという話を、確定した発注数量として記録しないでください。見積を求められている範囲と、先の計画についての情報が混ざると、担当者が前提を誤って理解するおそれがあります。
希望時期も、相手が試したい日、受け取りたい日、社内で判断する日など、何の予定なのかを確かめます。希望を聞いた段階では、納期を回答したことにはなりません。担当者が工程や材料調達を確認する前に、間に合いますという言葉を添えず、回答できる時点と次の確認方法を案内します。
設備と外注の判断は、確認票を添えて社内へ回す
自社で対応できる工程かどうかは、実際の図面や材質、評価の目的を基に、設備や加工の担当者が判断します。設備一覧に機械の名前があるだけで、今回の形状や条件に対応できると決めないようにします。営業窓口は、担当者が必要な情報へたどり着けるよう、受け取った資料と未確認事項を揃える役割を担います。
外注が必要かもしれない場合は、図面や顧客情報を外部へ渡してよいかを先に確認します。社内で検討する許可があることと、協力先に共有する許可があることは同じではありません。照会先、共有する資料、共有目的を整理し、会社の秘密情報の扱いや相手との取り決めに従います。
引き継ぎ票は、確認した事実の出典、未解決の項目、相談の分類、次の確認者が分かる形にします。例えば「見積待ち」だけでは、何が揃えば見積を検討できるか分かりません。「図面の版は確認済み、材質は候補、精度の指定は未確認、技術担当による事前相談が必要」と書くと、必要な作業が明確になります。
架空の受付票で、進める範囲と止める範囲を示す
次は実在しない工場と相談を想定した架空例です。相手は、治具に組み付く形状を確かめるための試作品を相談し、検討用の図面を一枚提示したとします。今回の数量は二個という希望ですが、材質と公差はまだ決まっていません。数量は練習例の設定であり、実際の受注や適切な製作条件を示すものではありません。
この状態では、図面を受領し、目的と未確定の条件を整理するところまでは進められます。一方、加工可否や費用、納期は答えられていません。相談の分類を技術確認待ちとし、加工担当者に必要な追加質問を確認します。見積提出済みや受注見込みと記録しないことで、受付と商談の進行を区別できます。
停止例として、図面を協力先へ見せてよいか分からず、社内だけでは判断できないケースを考えます。外注先へとりあえず送って反応を見るのではなく、共有許可の確認を待ちます。次の担当者と、どの資料のどの範囲を共有できれば再開できるかを残します。顧客が急いでいることは、許可の代わりになりません。
架空の受付票:出典=依頼者の説明と検討用図面。目的=治具への組み付け形状の確認。数量=今回二個を希望。未確定=材質、公差、外部共有の可否。分類判断=技術相談の準備、見積は保留。確認者=加工担当が追加質問を整理、案件担当が依頼者へ照会。再開条件=技術判断に必要な条件と共有範囲の確認。実在の加工実績や納期回答ではありません。
技術相談につなぐ際も、受付と実施を区別する
東京都立産業技術研究センターの公式案内では、相談する技術分野や事業所が分からない場合に総合支援窓口へ相談し、内容に応じて担当研究員につなぐ流れが説明されています。このように、相談の受付と、専門の担当者による詳細な確認を分ける考え方は、初回の情報整理にも参考になります。
ただし、同センターの案内を、すべての町工場に共通する受付条件として使うことはできません。外部機関を利用するなら、現在の相談範囲と利用条件を直接確認してください。本稿の確認票を埋めたことが、加工の実施、見積の発行、外部支援の利用を保証するものでもありません。
参照資料:東京都立産業技術研究センター「技術相談」。確認日:2026年10月18日。参照URL: https://www.iri-tokyo.jp/guide/consultation/ 。公式資料は同センターの相談の流れを説明しています。本稿の質問項目と架空の受付票は編集上の提案であり、具体的な製品の設計審査や加工条件の指示ではありません。
実際には無料の受信トレイ到達テスト(check.live-direct-marketing.online)で確認できます。
よくある質問
図面があれば、営業だけで加工可否を答えられますか。
図面の版、材質、目的、未確定条件などを整理して技術担当へ回します。設備の名称や過去の類似例だけで、今回の可否を約束しません。
公差が書かれていない場合は標準値で進めますか。
受付側で補わず、どの部分が未確定かを明示します。目的や測定方法も含め、技術担当と依頼者が確認する項目として残します。
希望納期は回答した納期として扱えますか。
扱えません。相手の希望と、自社が確認して回答した条件は別です。工程などの確認前には、希望を受け取ったことだけを記録します。
協力工場へ図面を見せてもよいですか。
外部共有の範囲を確認してから行います。社内での確認が認められていても、協力先への共有まで認められているとは限りません。